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2011-11-19

週末書評:「年金は本当にもらえるのか」


今日はコンピュータの話題ではないので興味がない人はスルーして頂きたい。

河野太郎氏のブログで紹介されていた「年金は本当にもらえるのか」という本を読んだ。この書籍では、とても丁寧に年金について「なぜそのような制度が必要なのか」「なぜ理屈は簡単なはずの年金制度は理解しづらくなっているのか」という初歩からの解説がなされている。年金は国民全員が加入していて、日本国民なら誰しもが関係するトピックであり、考える機会も多いだろう。年金について考えるにあたり、本書は非常におすすめである。

とりあえず本書を手にとって読んで頂きたいと思う。以下は筆者の余談である。


年金は本当にもらえるのか?

これが本書のテーマであるが、今保険金を支払っている世代がもらえるかどうかという問題は、言葉を変えると「年金制度が崩壊せずに自分たちが受給者に回る世代まで持ちこたえることができるか」という問題だと言えるだろう。年金システムがちゃんと動いていれば受給はできる。だが、一体いくらもらえるのかという金額が問題だ。

問題なのは年金の積立金が累計で540兆円もマイナスになっているということではないか。積立金が目減りしていれば、制度≒財政が破綻する可能性も高まるし、破綻を免れようとすれば給付カットをせざるを得ない。本書では触れられていなかったが、さらに困るのは「積立金が減れば運用益も減る」ということだろう。運用益が期待できなければ当然受給者へ支払う能力も低下するはずである。(540兆円を運用したらいったいいくらの利益が出たことだろうか!!)

現在受給している世代から即座に給付カットを!

なぜか本書では後半で「現受給者の受給額カットするのは忍びない」というセンチメンタルな意見が述べられ、現受給者の給付額をカットせずに年金制度の改革を行うための手法についての解説が述べられている。だが、これには大いに異を述べたい。「現受給者の受給額カットするのは忍びない」のならば、「現役世代から将来受給することになる受給額をカットするのも忍びない」となるはずだ。なぜ現在の受給者だけが優遇されなければいけないのか。そもそも年金制度の財政難をつくりだしたのは、現在の受給者の世代、さらにはもっと上の世代の責任ではないか。問題を作り出した世代がのうのうと満額受給で逃げ切り、後の世代へ負担を押し付ける格好になっているのはいかんとも許し難い。

財政難の根本原因は、現在の受給者が支払った金額を大きく上回る金額を受給していることだ。従って、年金の財政を立て直す一番まっとうな方法は、今直ぐ支出を減らすことだけである。

政府の責任追及を!

本書では、「100年安心プラン」が本当に安心であるかのように見せるために、政府がかなり無理のある試算を行っていることが示されている。このままだと本当に年金財政は破綻してしまうが、政府は躍起になってそれを隠蔽しようとしているように見える。財政状況を、実態とは異なるよう申告するのは、民間企業がやれば「粉飾」と呼ばれ、刑罰を食らう。だが、政府による粉飾はまかり通っている。

しかも「年金積立金管理運用独立行政法人」は、その運用においてハイリスク・ハイリターンの運用をして損を出している始末である。そのことは国民に周知されているのだろうか?

非正規雇用、就職難などの苦境にさらされている若い世代は、年金を受給する段階になってさらに困ることになる。現在の政府のやり方に対して、我々現役世代はもっと声を大にして異を唱えていくべきではないだろうか。

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