このようなニュースが報道された。なんと、一人ひとりの買い物にマイナンバーを結びつけて、食料品の分だけ消費税10%のうち、後から2%を還付しようというのだ。はっきり言って、このアイデアには重大な問題がある!!なぜ政府はこのような重大な問題に気づかないのか。いや、あえて気づかないフリをしているのか??マスコミもマスコミで、なぜ指摘しないのか。
今日はその大きな大きな問題点について語ろうと思う。
国民のプライバシーが丸裸に
語るというほど複雑な問題ではない。最大の問題点は、マイナンバーに結びついた国民一人ひとりの買い物の履歴が、政府に渡ってしまうということだ。国民のプライバシーゼロである。政府はプライバシーといったものに対して、クソほどの価値も見出してはないのだろうか。もしそうだとしたら、そのような政府は危険極まりないと言わざるを得ない。食料品ぐらい何を買ったのか把握されても別にいいじゃないか?という意見もあるかも知れない。だが、将来的に食料品以外の買い物について、減税措置が拡大されないという保証はどこにもない。むしろプライバシーを明け渡すとなると、減税措置を拡大するハードルにもなりかねない。それは国民にとって歓迎しがたいことであろう。
背に腹は変えられないので、国民は政府にプライバシーを明け渡すことを許容してしまうかも知れない。そうなると、政府は国民の購買行動をつぶさに把握するという、監視社会ができあがってしまうことになる。そのような事態になれば、自由もクソもなくなってしまう。絶対に避けなければならない。
カードを使わなければ良いだけか
購買行動を把握されたくなければ、マイナンバーと紐付けなければ良いだけだという意見があるかも知れないが、はっきり言ってそのような意見に対しては、ふざけるな!!と言いたい。政府はプライバシーを売り渡すかどうかに関わらず、誰もが平等に減税措置を受けられるようにするべきではないだろうか。購買行動という、ごく当たり前のように保証されるべきプライバシーを、なぜ減税措置という形で政府に売り渡さなければならないのか。
政府なら悪用する恐れはないか
政府という信頼がおける機関なら、国民のプライバシーを悪用することはないだろう。そんな意見もあるかも知れない。だが待って欲しい。このようなアイデアを出してくるということは、政府は国民のプライバシーに対して無頓着だと言っているようなものだ。そのようなリテラシーの無い機関が果たして信用に足るだろうか。プライバシーを粗末に扱う恐れは大いにあるし、情報漏洩によって、個人のプライバシーが赤日のもとにさらされてしまうかも知れない。もしそのようなインシデントが発生してしまったら、誰が責任を取るというのだろうか。じっくりと考えて見て欲しい。
対案
所得に応じた減税措置では何故ダメなのか。所得については既に政府が把握しているし、マイナンバー制度が施行されればさらに追跡は容易になるだろう。所得税という仕組みがあり、雇用契約によって雇用主と雇用者の関係性を法的に決定する以上、所得が政府によって把握されることは、ある意味仕方がないことだろう。既にマイナンバーによって把握できる情報がある。そして、金銭の消費は所得に概ね相関がある。わざわざ他の仕組みをもって減税措置をとる必要などないのである。低所得者を減税するという仕組みで、何の問題があるというのか。
というわけで、一人のコンピュータ技術者として、自由やプライバシーを尊重する一個人として、マイナンバーを使った消費税還付制度には反対する次第である!!
おまけ:そもそも増税は必要なのか
もうひとつ言っておきたいのは、そもそも今の経済状況で消費増税などしてはならないということだ。これはクルーグマンも指摘している。ノーベル賞経済学者・クルーグマン「中国崩壊と世界同時不況 私はこう見ている」 チャイナ・ショック! 世界経済の「明日」を読む【第1部】 | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]
下記は3ページ目からの抜粋だ。
グローバル経済が減速しているなかで、日本が絶対に行ってはならないのは、消費税増税です。1度目は完全に失敗でした。2度目の増税をすれば、アベノミクスは完全に墜落してしまう。世界経済が衰退するなか、日本には力強く頑張ってもらわなくてはなりません。
クルーグマンの指摘はいつも的を射ている。今回の指摘も尤もだと思うし、増税をすればきっとロクなことにはならないだろう。ノーベル賞経済学者であるクルーグマンの忠告を無視し、増税へ突き進むというのだから、もしかすると政府には余程「問題ない」という確信があるのかも知れない。だったら失敗したときの責任ぐらいは取ってもらいたいものだ。それをせずに好き放題するのだから、無責任も良いところである。
0 コメント:
コメントを投稿