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2012-10-29

書評:"人権侵害救済法"で人権がなくなる日


皆さんは人権侵害救済法というものをご存知だろうか?元々は人権擁護法案という名前であったが、これまで再三に渡り審議されたが成立せず一度は廃案になった法律である。それが再び人権侵害救済法案という名称で蘇り、野田内閣が閣議決定してしまった。(参照:人権救済法案閣議決定、選挙に向け「どさくさ紛れ」で実績作り 保守系から強い懸念+(1/2ページ) - MSN産経ニュース人権救済法案を閣議決定 解散にらみ“実績作り” 人権団体へのアピール急ぐ  - MSN産経ニュース)ダウンロード刑事罰化の件もそうだが、水面下でこっそりと民意が反映されない法律が通ることは珍しくない。そして、この人権侵害救済法というのは、超弩級に危険な法律なのである!!

以下、ネタバレ注意。

人権侵害救済法の問題点


人権侵害救済法の問題点はまとめると次のようになる。

  • 人権侵害は既存の法律の枠組みの中でほとんどの場合は対応可能である。
  • 人権侵害救済法による行き過ぎた調査により、訴えられた側の人権が侵害されてしまう。

では何故このような法案が提出されてしまったのか。その理由のひとつは外国人に対する参政権付与を推進している勢力がこの法案も押しているということがある。そして、人権侵害救済法は法務省配下に人権委員会という行政委員会(いわゆる三条委員会)を設置することになるため、司法省の新たな天下り先として注目されているという点を見過ごすことができない。

人権侵害救済法の何が危険なのか


人権侵害救済法の要点を以下に箇条書きで記述するが、この簡単な内容だけでも如何に危険なのかが一目瞭然である。

  • 人権委員会は人権侵害に遭ったという人の訴えにより調査を実施する。
  • 人権委員会による活動は既存の法律の枠組みには縛られない。つまり訴えられた人は裁判によって審議される権利を剥奪される。
  • 例え冤罪であっても人権委員会による補償は一切ない。
  • 何が人権侵害かという定義が極めて曖昧である。

つまり、誰かに「人権侵害だ!」と訴えられたが最後、人権委員会によって法的な手続きを一切経ずに調査され、人権委員会の主観によって是正措置が命じられてしまうことになる。人権委員会は市町村に設置されることになるが、その人選次第では行き過ぎた措置が横行することが容易に予測できる。

これではおいそれと不用意な発言はできない。特にインターネット上では些細な発言がずっと残ってしまうことになるが、そのような発言をもって「人権侵害が行われた」と訴えることが可能であれば、その結果我々は言論の自由を奪われることになるだろう。

例えば企業が外国人を不採用やクビにした場合、たとえ理由がまったく違うこと(職能が足りない、怠慢である等)であっても「国籍によって差別された」と訴えられれば調査される羽目になる。その結果業務に大きな支障が出るし、社会的な信用にも傷が付くだろう。

人権にとって大切なものとは一体何か?それは公平性以外にないのではないか。既に司法という公平な判断を下す機関が存在し、そのための法律が整備されているのだからそれで十分ではないか。公平性を欠く組織を新たに設置して、それで人々の人権がよりいっそう守られるなどということなどあろうはずがない!公平性を欠けばそれは一方的に人権を蹂躙することになるのだから。

なぜマスコミが騒がないのか


実はマスコミは人権侵害救済法による規制の対象外なのである。これまた腐った内容ではないだろうか。最も人権を侵害しやすいマスコミという存在が、人権侵害救済法の対象外とは本末転倒も良いところである。

建前上は報道の自由を尊重するということになっているが、大衆から言論の自由を奪ってマスコミは報道の自由が保たれるというのは許しがたい。もし人権侵害救済法が成立してしまったら、国民全員がマスコミを名乗らなければならないようになるだろう。

どうすれば成立を防ぐことができるか


この書籍の著者でもある人権侵害救済法案反対!全国陳情プロジェクトの活動を支援するということがひとつ挙げられるだろう。そして、このプロジェクトでは議員ごとの陳情結果が掲載されているので、法案に賛成している議員を支援しないということも必要だろう。

この法律は人々の自由と平和を守るためには、決して通してはならないものである。ぜひ本書を手に取って、この人権侵害救済法という名の、その名に反して人権を蹂躙するための法律の危険性を知って頂きたい。本書は、人権侵害救済法の問題点について本当によく書かれている。そして、人権侵害救済法の審議は今日本で起きていることということを認識して頂ければ幸いである。

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