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2010-10-27

Desktop Linux Is Great

最近、PC Worldに「Desktop Linux: The Dream Is Dead」という記事が投稿され、非常に多くの注目を集めているようである。筆者はGNU/Linuxをデスクトップとして愛用しているが、決して「もう終わりだ」などとは感じていない。むしろようやく始まったな!と実感しているところである。筆者は「LinuxにはGNUを冠せよ!」などと思っているフリーソフトウェア支持者であるが、GNU/Linuxをデスクトップとして利用するのは、何も「自由が大切だから」という理由だけではない。もちろんそれもあるが、最大の理由は「死に狂うほど便利だから」である。そんなことを言うと、WindowsやMacに慣れきったユーザーの中には、

「(GNU/)Linuxが便利だとぉ〜?!寝言は寝てから言いなッ!!」

などと思われる方もいらっしゃるかも知れない。なので、今日はGNU/Linuxがデスクトップとして如何に優れているかということについて、とくとくと語りたいと思う。

ブラウザはどのOSでも共通

読者の皆さんは、きっと一日の多くをブラウザを操作することに費やしているのではないだろうか。アプリケーションといえばWebベースのものが主流だし、調べ物をするならまずはGoogleなどの検索エンジンを利用してWebページを閲覧しまくるだろう。WebページはHTMLというフォーマットであり、OSに依存した仕組みではない。ブラウザさえあればどのようなOSでも全く同じWeb体験が出来るのである。主要なクロスプラットフォームのブラウザは、GNU/Linuxでも他のOSと同様に利用することが出来る。筆者はChrome(ベータ版)をメインで利用しているが、他のOSで利用しているときと操作感に差異は感じられない。他のOSで利用しているChrome拡張も全て利用可能である。当然ながら、Chromeだけでなく、FirefoxやOperaと言ったクロスプラットフォームなブラウザであればGNU/Linuxで利用可能だ。

Webといえば最近Mac OS Xが標準バンドルを止めるというのが話題になっているFLASHを思い出す人も居るだろう。GNU/Linuxでは、FLASHプレイヤーは(バンドルされていないので)自分でインストールする必要があるが、動作そのものには支障はない。長らく64ビット版が存在しない状態が続いているが、32ビット版のFLASHプレイヤーを64ビット版ブラウザで動作させるためのラッパー(nspluginwrapper)も存在する。

当然ながら、Internet Explorer専用サイトなどは閲覧することは出来ないが、そもそもOSに依存しないはずのHTMLにおいて、IE専用にするサイトが欠陥品なのである。どうしてもInternet Explorerが必要な場合には、仮想マシンでWindowsを利用するなどの対策を取れば良いだろう。

動作はキビキビ!

10年ほど前、現在主流となっているデスクトップ管理システムであるGNOMEやKDEは、動作がキビキビしているとは言い難かった。(むしろモッサリ感があった。)だが、時代と共にハードウェアの性能は向上し、その一方で描画が最適化されたたため、以前のようなモッサリ感はもはや存在しない。最新のハードウェアを利用すれば、操作感は快適そのものである。さらにOpenGLを使って3Dでデスクトップの描画をアクセラレーションするCompizを使えば鬼に金棒!!

現在圧倒的なシェアを誇るWindowsと比較しても、操作の軽快さは全く劣らない。(むしろ同じマシンで実行した場合、GNU/Linuxのほうが軽快である。)手元のMacにGNU/Linuxをインストールしたことはないので直接Macとの比較は出来ないが、筆者はMac OS Xが重くてGNU/Linuxに移行したクチであり、新しいマシンにインストールしたGNU/Linuxにはとても満足しているとだけ言っておこう。

超^256らくらくソフトウェア管理

GNU/Linux(の各種ディストリビューション)を利用する上で最大のアドバンテージは、パッケージ管理システムの秀逸さだと筆者は思う。ひとたびこの快適さになれてしまうと、もう他のOSは使う気にならないぐらいだ。ヤバい、これは本当にヤバい。麻薬以上に依存性がある機能だッ!

「えっ?!そんなこと言ったって、どうせ(GNU/)Linuxのパッケージ管理なんてコマンドでちまちまやるんでしょ?!」

などと思う人が居るかも知れないが、CLIが苦手な人にはGUIもある。筆者が利用しているディストリビューションはUbuntuとFedoraだが、いずれのディストリビューションにもパッケージ管理用のGUIが存在する。だが、GUIかCLIかということはそれほど問題ではない。RPMやdpkgの出来も素晴らしいが、もっと重要なのは、そう一番重要なのは、パッケージがオンライン上のリポジトリで公開されているということ、そしてyumやaptでダウンロードからインストールまでを一括して行えるという事実だッ!!もちろん全てのソフトウェアがOSのリポジトリから入手できるワケではないが、かなり広範なパッケージをカバーしている。

例えばUbuntuで「コンパイラが欲しい」と思ったとしよう。(Ubuntuにはデフォルトではインストールされていない。)その場合、
shell> sudo aptitude install build-essential
とすればGCCとその他必要なツール一式が揃ってしまう。もちろんGUIで検索してインストールしても良い。

一方他のOSでは、オンラインで公開されているソフトウェアをインストールする場合の手順はこんな感じだろう。まずはWebで検索して、「このソフトウェアは自分のOSで使えるかな・・・」などということを調べ、利用可能であればダウンロードし、出処のあやしいソフトウェアであればウィルスチェックをして、ようやくそれをインストール作業に入り、最後にクソ面倒臭いインストール作業を経て、ようやくソフトウェアを利用することが出来る。一本や二本だけのインストールなら大した手間ではないが、インストールするソフトウェア数が増えるとこれは非常に手間である。

一方、GNU/Linuxでは事情は全く違う!!リポジトリでは、現在利用しているOS(およびバージョン)向けのソフトウェアだけが公開されているのでOSの対応状況を調べる必要はないし、「Xというソフトウェアを利用するにはYというライブラリが必要だ」というような依存関係もシステム側で自動的に解決して一括でインストールしてくれる。余計なことは何も考えずともインストールまでたどり着けるのである。しかもインストールはコマンドひとつで完了する。(GUIならばボタンひとつだッ!)この差は大きい。

さらに凄いのがソフトウェアのアップデートである。バックグラウンドでリポジトリ上の更新を確認し、更新があればデスクトップ等で通知してくれる。そして更新はコマンド(orクリック)ひとつで完了するのだッ!!

筆者はWindows PCも所有している(Ubuntuとのデュアルブートになっている)。このPCには様々なソフトウェアをインストールしているのだが、自分でインストールしたものには更新を確認したりアップデートをする機能そのものがないものが殆どで、それ以外は独自のパッケージ管理機能を備えたものばかりである。(後者の例としては、マイクロソフト、Google、Apple、ジャストシステム、ソニーなどの製品が挙げられる。)複数のベンダーが提供するソフトウェアで更新があった場合、それぞれのパッケージ管理ソフトウェアを起動して、個別に更新作業をしなければいけない。それは面倒なのであるが、そのような仕組みがある場合はむしろ"ラッキー"である。Windowsの場合、自分でソフトウェアをインストールしたら更新も自分で(手動で)行わなければいけない場合がほとんどだろう。

一方で、GNU/Linux、例えばUbuntuであれば、
shell> sudo aptitude safe-upgrade
とすればイッパツで更新が完了する。自分でリポジトリにないパッケージを追加した場合でも、インストール時にリポジトリを登録してくれる場合が多いので、以降の更新はやはりコマンドイッパツである。大企業のITシステム部に専任の担当者が居てその人がパッケージを管理してくれるというような場合もあるが、そうではなく、個人でパッケージを管理しなければいけない状況では、このようにリポジトリ上にソフトウェアが公開されている状況は、非常にありがたいのである。

なぜそのようなことが可能なのか?それはまさにフリーソフトウェアのすばらしさによるものだろう。リポジトリ上で公開されているのは、開発者自らがパッケージングしたものばかりではない。だが、フリーソフトウェアライセンスで公開されているソフトウェアであれば、誰でも自由にパッケージングと再配布が可能なのである。GNU/Linuxと言うと「ソフトウェアは自分でソースコードを拾ってきて依存関係を解決してビルドするんでしょ!?」というイメージを持っている方が居るかも知れないが、それは今の時代においては誤った認識であると言えよう。もちろんソースコードからコンパイルすることは可能、つまり「やろうと思えばいくらでも出来る」状態ではあるが、別にソースコードからコンパイルしなくても困らない。ソースコードが公開されている故に、ビルド済みパッケージも非常に充実しているのである。

快適すぎる日本語入力環境

筆者はGoogle日本語入力のオープンソース版であるMozcを利用しているが、これが非常に具合が良い。変換を実行したときに待たされることは滅多になく、候補ウィンドウの表示も至極滑らかである。変換精度ではまだATOKに及ばない部分もあるが、GNU/Linux用のATOKは長らく更新されていないので、GNU/Linux上では既にMozcのほうが快適になってしまったのである。ATOKは使えないが、Mozcは「快適」というには十分過ぎるソフトウェアである。

マルチメディアもOK

GNU/Linuxではマルチメディア、例えば音楽や動画の再生の機能が得意ではないと考えている人が居るかも知れない。だが、それは間違った認識である。筆者はBanshee(音楽再生、NexusOneへの音楽ファイル同期)、Totem Movie Player(動画再生)、digiKam(写真管理)などを愛用している。もちろんDRMつきの音楽などは再生できないが、手持ちのメディアを再生する限りでは困ったことはほとんど無い。単に画像ファイルを一覧するだけであればComixが快適である。

ただ、動画についてはコーデックのライセンス関係で再生出来ないものもあるので、Google主導のWebMが早く普及すればいいなと思う。

プロプライエタリソフトウェアも利用可

GNU/Linuxにはプロプライエタリソフトウェアをインストールしてはならないということはない。必要であればSkypeやDropboxクライアント、Adobe Reader、FLASHプレイヤーなどのプロプライエタリソフトウェアを利用することが可能だ。今挙げたソフトウェアはプロプライエタリではあるが、どうしても必要なので筆者も使っている。(プロプラでない代替があればいいなとは思う。)だが、ないものはないので仕方がない。無い袖は触れないのである。(Adobe Readerは、evinceやOkularではどうしても開けないドキュメントがあるので使っている。)あと、便利さに負けてGoogle Chromeもプロプライエタリであるが利用している。

また、プロプライエタリソフトウェアの代替ソフトウェアも年々充実してきている。MSオフィスの代替となるOpenOffice.orgは言わずもがな、画像編集ソフトのGIMP、MSNメッセンジャーの代替となるPidginなど、筆者が欲しいものは一通り揃っている。代替物というわけではないが、RTMと連携可能なタスクマネージャであるTasqueなどという気の利いたものまである。我がPCライフは快適そのものであると言えよう。

「いや、やはりどうしてもフリーの(プロプラでない)代替ソフトウェアが欲しい!」

という人は、フリーソフトウェア財団に寄付をしよう。寄付したお金はやがて開発者の元に届き、開発の原動力になるはずである。現在、フリーソフトウェア財団では「優先度の高いフリーソフトウェアプロジェクト」に対して寄付を募っているので、寄付する先としては適切ではなかろうか。

ほとんどの設定はGUI

「(GNU/)Linuxでは設定ファイルをviなんかで一生懸命編集しないとダメで面倒だよね〜。」

などということを信じているアナタ!!その認識はもう古い。最新のUbuntuであれば、インストーラは当然GUI、ネットワークの設定もGUI、パッケージの管理もGUI、VPN接続の設定もGUIである!!当然ソフトによっては設定ファイルをエディタで開いて編集するものもある(例えばEmacsやVimなど)が、システムの設定はほぼGUIだけで出来るというところまでGNU/Linuxは到達している。

もちろん「エディタで設定ファイルを編集したほうが早いッ!」という人であれば、そうすることが可能だ。好みにあわせてGUI/CLIを自由に選択出来るのは他のOSにない強みだろう。

そもそも、設定をしなければいけない項目自体少なくなっている。以前は厄介だったXの設定すらほとんどの場合(何か問題が生じない限り)必要ない。なんという便利な時代になったのだろうか。

タダで手に入る

忘れがちだが「タダ」で手に入るということも大きなメリットだ。ライセンスを気にすることなく、何台でも、どのマシンでも、仮想マシンにでもいくらでもインストールすることが可能だ。

現時点で困っていること

筆者は概ね満足しているが、不満が皆無というわけではない。

どうしても他のOSにしか対応していないソフトウェアがあるので、全てをGNU/Linuxだけで済ませることは出来ない。(例えば年賀状ソフト、Sonyのビデオカメラで撮影した動画の管理、IPフォン、Windows向けセキュリティ製品などだ。筆者はiPhoneの開発をしないが、iPhoneの開発環境にはOSX/Xcodeが必須だろう。余談だが、去年の年賀状はGIMPでデザインしたので、宛名印刷さえ出来れば年賀状ソフトは必要ない。)だが、GNU/Linuxに対応していないという問題はマシンが複数あれば解決する。普段はメインのGNU/Linuxマシンでウハウハし、必要なときだけWindows/OSXのサブマシンを利用すればいいのである。従って、使いたいソフトウェアがGNU/Linuxに対応していない場合があるという問題はそれほど困っているというわけではない。

また、ベンダー自身からデバイスドライバが提供されていない場合には、デバイスがうまく動かないという問題に遭遇することがある。だが、最新すぎるハードウェアさえ避ければ何とかなるし、ネット上では動作報告が掲載されている場合があるので、致命的な問題というわけではないと思う。ただし、ハードウェア系のトラブルに見舞われるとそれなりにスキルが求められるので、GNU/Linuxは素人に勧められるものではないというのが正直なところだと思う。(インストール済み&動作検証済みのマシンを素人に使ってもらうのであればアリだ。)

筆者はあまりやらないが、GNU/Linuxには市販のゲームが移植されていないことが多い。マインスイーパーやソリティアぐらいならあるのだが、市販のPCゲームはプレイ出来ないだろう。頑張ればWineでStarCraft2を動かしたりすることも出来るようなので、スキモノ諸君はチャレンジしてみても良いかも知れない。(ただし当然WindowsやMacで実行したほうが速いのだが、このクオリティで実行できるのは驚愕である。)

まとめ

多少の問題はあるものの、GNU/Linuxは本当に快適になった。ソフトウェアは充実し、GNOMEやKDEなどのウィンドウ管理ソフトは洗練され、キビキビと動作する。他のOSと同じWebブラウザが利用でき、FLASHの再生も問題ない。そして何よりも優れたパッケージ管理システムとオンライン上のリポジトリがあり、筆者には楽園のように感じられるのである。

デスクトップで使うGNU/Linuxは素晴らしい。その時代は、今まさに始まろうとしているッ!と筆者は感じているのである。

2 コメント:

内山太志 さんのコメント...

Google Chromeの元となったChromiumが有りますよ。
こちらはフリーです。
使い勝手は全くと云っていいほど変わりません。

Mikiya Okuno さんのコメント...

内山太志 さん

コメントありがとうございます。今はChromiumを利用しております :)

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