http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090429-OYT1T00633.htm
というわけで、
- ソースコードの開示制度の導入は1年間延期
- 適用範囲は中国市場全体から政府調達へ縮小
開示制度を施行するにあたっては、次の点について明確にしないといけないと思う。
ソースコードのライセンス
ソースコードは、公開されていようがいまいが著作権で守られている。一般的なOSSにおいてソースコードを流用(コピーや改変)してもいいのは、そのソースコードに対するライセンスで明示されているからだ。(GPLやBSDライセンスなど)そうでなければ、勝手にコピーをしてはならない。コピーすると著作権法違反になってしまう。
従って、中国政府にはソースコードを流用しないで済むようなライセンス形態にするよう確約をとるつけるべきだろう。「IT企業側が勝手にライセンスを決めて良い」としてしまってもいいが、たくさんのライセンスがあると混乱の元になるので、ライセンスは共通にしたほうが運用が楽だろう。
誰に対してソースコードを開示しなければならないか
ソースコードを開示する相手が政府だけであれば、とりあえずマイクロソフトは文句を言わないのではないだろうか。一般に公開しないといけないということになれば、ほとんどのベンダーは反発するだろう。この点について中国側は前者であることを明記して、IT企業を納得させなければならないだろう。
万が一ソースコードが流出してしまったときの補償
政府の役人だけがソースコードを参照できるのであれば、各国のIT企業にとってビジネスを脅かすような事態にはならないだろう。しかし、政府の役人の手によってソースコードが流出してしまった場合には、一部のIT企業はビジネス機会を逸するかも知れない。そうなった場合、中国政府はどのような補償をしてくれるのか。欧米諸国はこの点について明確にすることを(何らかの大きな補償が得られることを)中国政府に求めていく必要があるだろう。
このような点について、中国側が明確に条件を提示するならば、制度の導入にあたっての障壁は下がるのではないだろうかと思う。
俺はフリーソフトウェア支持者であるが、このような形でIT企業に対してオープンソースソフトウェアを用いたビジネスを強要するのは間違いであると思っている。オープンソースソフトウェアを利用することによる優位性を、ビジネスを行う側が自ら証明しなければならない。俺は、ソースコードの品質やユーザーが持つ自由という点で、オープンソースソフトウェアには優位性を主張できる確固たる根拠があると考えている。
この制度が来年の5月に施行されるかどうかはまだ分からないが、もし施行されたならば間違いなく一部のプロプラエタリなソフトウェアを販売する企業は中国政府への製品販売を停止することになるだろう。中国政府はオープンソースソフトウェアの利用を余儀なくされるかも知れない。オープンソース陣営にとっては、オープンソースが現場で使えることを証明できる良い機会になるのではないだろうか。
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