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2009-05-14

富士通の世界最速CPU「Venus」見参!!

なんと、富士通がインテルもIBMもブチ抜いて、世界最速のCPUの開発に成功したそうだ。GIGAZINEのニュース記事はこちら。
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20090513_fujitsu_venus/

このCPUの概要は次の通りである。
  • SPARC64の後継
  • 8コア/ソケット
  • クロック周波数は2GHz
  • 1クロックで8回の浮動小数点演算を実行
  • 2GHz x 8 x 8 = 128GFLOPs(世界最速!!)
というわけだ。SPARC64ベースなので、OSはもちろんSPARC版Solarisを使うことになるだろう。太陽は沈んでしまったが、Solarisだけは復権なるか?!

8コアという構成は、元々SunがNiagara CPUでとっていたものと同じである。Niagaraではスループットを重視したので各コア、つまりシングルスレッド性能はあまり高くないというコンセプトだったのだが、Venusでは各コアの性能も高くなったということだろう。

Venusの詳細については、GIGAZINEの記事にも書いてあるがマイコミジャーナルの記事の方で詳しく説明されているので、そちらを参照して欲しい。
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/03/12/sparc_viii_fx/index.html

ちなみに、記事にはインテルの最速CPUより2.5倍速いと書いてあるが、逆算するとインテルCPUの理論性能値は50GFLOPs程度ということになる。(WikipediaのFLOPSのページには、51GFLOPsとある。その他のソースはWebで調べても出てこなかった。誰か知ってたら教えて!!)IBMのPower6は、5GHz動作時で40GFLOPsらしい。(参考記事)5GHzのPower6より3倍以上速いというのは驚きである。

先日、現役SEでギークな友人とCPUについてメールで語り合ったりしていたのだが、その友人曰く「x86のCPUが優位性を保ってるのは量産効果があるからで、Atomによって下位の市場が侵食されれば上位のCPUに対する投資は減るから性能競争で再びUNIXサーバー陣営、つまりPowerやSPARCが性能競争で復権するのではないか。」というのである。とはいえ、x86 CPUの性能向上もめざましく、最初にその友人の話を聞いたときは訝い意見だなと思っていたのだが、Venus CPUに関するニュースを見てちょっと信憑性があるかも知れないと思った。CPUの性能競争はギークにとって楽しいこと極まりないトピックなので、ぜひx86とPower、SPARCなどのRISCチップ同士で、熾烈な性能競争を再び繰り広げて頂きたい。

ところで、VenusはCPUの中では最速になるだろうが、科学計算の世界にはもっと強力なライバルが存在する。それはGPUの存在である。ちなみに、FLOPSだけで見るとGPUの方がもっと速い。WikipediaのFLOPSのページによると、GeForce GTX280は933GFLOPsだそうである。何ともはや・・・Venusの7倍近い性能ではないか。

ただし、問題はいくら性能理論値が良くても、実測値が良くなければ意味がないということである。演算回路は超高速でも、データのロードストアに時間が掛かっていてはせっかくのハードウェアの性能を活かし切ることが出来ない。特にGPUでは、メモリへのアクセス速度が問題になると予想される。ちょっと古い記事であるが、マイコミジャーナルのCUDAに関する記事を見るとそれほどGPUの実測値は出ていないように見受けられる。とはいえ、比較されているx86よりは断然速いのだが。

いずれにしても、Venusの登場はCPU(GPU)の性能競争がさらに激化する時代への突入を予感させる。今後の動向が楽しみだ!!

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