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2013-02-18

【書評】まさに万人のためのPython入門書「みんなのPython 第3版」


著者、柴田氏より献本御礼。Python入門書籍の定番中の定番が、なんと第3版まで到達した!!しかもバージョン3対応!!というわけで拝読させて頂いたのでレビューをしてみたいと思う。

プログラム初心者にもおすすめ

まずこの点を強調したい。本書はプログラムの初心者にも非常にオススメである。関数とは何か、変数とは何か、オブジェクトとは何かということを分かりやすいアナロジーを用いて解説してくれている。Python本以外でも、ここまで丁寧に「プログラミングとはどういうものか」ということについて解説してくれている書籍は無いのではなかろうか。もちろんコンピュータ業界でメシを食っている人であれば関数や変数などの概念は身近なものであるが、それでも「ほう、そんな説明の方法があるのか!」と楽しんで読み進めることが出来るだろう。

例えば、以下は変数のスコープの説明をするのに「机」を例にした説明の抜粋である。
Pythonには、変数を置いておく「作業用の机」のようなものがあると思ってください。定義された変数は、机の上に並べられます。関数の外では、変数を置くための机は1つしかありません。

(机の図)

関数の中に入ると、新しい机が用意されます。関数の中で定義された変数は、新たに用意された別の机の上に並べられます。机が別なので、新しい机と、元からあった机の上に、同じ名前の変数を別々に定義することができます。

文章では図を紹介できないのが残念であるが、図と合わせて説明を読むと非常に分かりやすい。

丁寧な説明

一貫して丁寧な説明がおこなわれているというのも本書の特徴だ。インタラクティブシェルの実行例にはご丁寧にそれぞれの行において何を実施しているかについて注釈が添えられている。「そこまで書かなくても分かるんじゃないの!?」という気がしなくもないが、初心者にとっては手取り足取り教えられている感じでとても便利なのではないだろうか。また、用いられている図表も多く、これもプログラミング初心者には助かる点ではないかと思う。初心者にとって大きな難関となるのは、プログラムを作成する上で必要となる種々の概念を理解することでああろう。本書の豊富な図表をヒントにイメージをふくらませれば、概念を理解する手助けになるだろう。

コンピュータ業界にどっぷり使っていると、下らない質問をされたときなどはついつい「RTFM!!(Read The F@cking Manualの略。つまりマニュアル嫁クソがッ!という意味)」と言ってしまいたくなるが、本書を読めば「自分の解説が未熟なだけなのではないか」ということに気づくことだろう。

バージョン3をカバー

本書の特筆すべき点は、初心者向けの書籍でありながらバージョン3をカバーしている点である。基本的にはバージョン3を前提として各種機能の解説が行われているのだが、重要なポイントでバージョン2との違いを説明してくれている。さらには巻末がバージョン2と3の違いについてまとめられた章となっており、既にバージョン2を習得している人にとって新たにバージョン3を学ぶといった用途に向いているといえよう。

まとめ

「みんなのPython 第3版」はこれからPythonについて学びたい、これからプログラミング自体を学びたいという人にとってオススメの書籍であると言える。プログラミング初心者が最初に学ぶ言語がPythonで良いか?というのはまた別のテーマ(個人的にはアリだと思う)であるが、少なくとも本書がプログラミングのいろはを学ぶのに向いているのは間違いないといえる。

本ブログの読者にはプログラミングの初心者はあまり居ないと思うので、そういった人には少し物足りないかも知れない。そのような人にはもしかすると「エキスパートPythonプログラミング」のほうが読み応えがあるかも知れないが、「みんなのPython 第3版」はバージョン3対応というアドバンテージがある点は見過ごせない。プログラミングの経験もそれほどない人であれば、間違いなく本書はオススメである!!

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