iPadは「破壊的」なデバイスであるが、俺は正直言って、iPadが日本で普及するにはいくつかの障壁があると思っている。まず、第一に挙げられるのが日本の企業文化だ。iPadのデモムービーには以下の様なフレーズが登場する。
I don't have to change myself to fit the product. It fits me.
iPadはさぞかしユーザーに「フィットする」ことだろう。それは大いに賛同できる。dankogai氏曰く、
手が合わせるのではなく、手の方に合わせる道具だ。
ということだが、まさにその通り。iPadほどユーザーの「やりたいこと」をダイレクトに実現するデバイスは、いまだかつて無かったかも知れない。
ただし、iPadは個人にはフィットするが日本の企業にはフィットしない。言葉を変えると、手には馴染むかも知れないが、日本の企業文化には馴染まないのだ。
その際たる理由がセキュリティ。厳しい場合には、パソコンやUSBメモリなどの電子デバイス、さらには電話までもが持ち入りを禁止されている。もちろん情報漏洩のリスクを避けるためだ。もちろん、企業内ではIT部門が準備した(勝手にWinnyなどをインストール出来ない)パソコンを使うわけである。(もちろんパソコンの持ち出しも出来ない。)もちろんiPadなどは持ち入り厳禁となるだろう。
日本の多くの企業は、別の理由でiPadの利用を禁止する可能性もある。なぜなら、
こんなもの持ってたら仕事にならねーじゃねーか!!
と考えられるからだ。いやいやいやいやそんなことは・・・なくないな。こんな楽しいデバイスがあったら、俺なら間違いなく遊んじまう。
そんなわけで、日本の企業、特に大企業においては、iPadは持ち入りすら許可して貰えない可能性があるだろう。
一方、iPadの目玉のひとつであるiBooksだが、こちらは日本での展開にそもそも懸念がある。日本むけにiBooksのコンテンツが販売されるかどうかも分からないし、日本の出版業界は電子出版に対して非常に後ろ向きだ。(ただし日本のメディアはDRMが大好きなので、DRMをばっちり搭載したiPad向けならコンテンツを出してもイイと考えるかも知れない。)
iBooksは(俺にとってページめくりエフェクトなどは余計な飾りにしか見えないが)もしかすると革新的な仕組みかも知れない。しかし、日本では「肝心のコンテンツが揃わない」という状況になりかねないのである。iBooksのコンテンツがそろわなければ、iPadの魅力は半減するだろう。
そんなわけで、iPadは日本では割と苦戦するんじゃないかなあと思う。
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