結論から言うと、Googleは何らライセンスの間違いを犯しているわけではなく、GPLソフトウェアにGPL互換のライセンスでパッチを書くことが出来るのは、GPLの条文そのものにしっかりと書いてあるのである。
以下、GPLv2の日本語訳より抜粋。
以上の必要条件は全体としての改変された著作物に適用される。著作物の一部が『プログラム』から派生したものではないと確認でき、それら自身別の独立 した著作物であると合理的に考えられるならば、あなたがそれらを別の著作物として分けて頒布する場合、そういった部分にはこの契約書とその条件は適用されない。しかし、あなたが同じ部分を『プログラム』を基にした著作物全体の一部として頒布するならば、全体としての頒布物は、この契約書が課す条件 に従わなければならない。というのは、この契約書が他の契約者に与える許可は『プログラム』丸ごと全体に及び、誰が書いたかは関係なく各部分のすべてを保護するからである。 よって、すべてあなたによって書かれた著作物に対し、権利を主張したりあなたの権利に異議を申し立てることはこの節の意図するところではない。むしろ、その趣旨は『プログラム』を基にした派生物ないし集合著作物の頒布を管理す る権利を行使するということにある。
つまり、パッチとしてオリジナルのGPLソフトウェアから完全に切り離された部分に関しては、GPLが適用されないわけである。ただし、そのパッチをGPLソフトウェアに適用するためには、そのパッチはGPL互換のライセンス(例えばBSDライセンスなど)でリリースしなければならない。そして、それをオリジナルのGPLソフトウェアと合体した時点でGPLが適用される。つまり、
GPLソフトウェア + BSDLパッチ = 改変されたGPLソフトウェア
という関係が成り立つわけである。従って、件のGoogleパッチがBSDLでリリースされているのは、一切問題はないというわけであり、Googleパッチに含まれるソースコードはBSDライセンスで利用することが可能である。
なぜ上記のような条項がGPLに盛り込まれているのか?と疑問を持たれることだろう。もし上記の条項がなければ、全ての変更はGPLを適用したソフトウェアで行わなければならず、従って他のライセンスでリリースされた優秀なソフトウェアやライブラリをGPLソフトウェアと組み合わせて利用することが出来ないという事態になってしまう。例えそれがFSFが作成した他のライセンス、例えばLGPLなどを適用したソフトウェアであっても!である。上記の条項があれば、ライセンス上は安全に他のGPL互換のライセンス(BSDライセンスなど)のソフトウェアとGPLライセンスのソフトウェアを組み合わせて別のソフトウェアを開発することが可能になる。
なぜ上記のような条項がGPLに盛り込まれているのか?と疑問を持たれることだろう。もし上記の条項がなければ、全ての変更はGPLを適用したソフトウェアで行わなければならず、従って他のライセンスでリリースされた優秀なソフトウェアやライブラリをGPLソフトウェアと組み合わせて利用することが出来ないという事態になってしまう。例えそれがFSFが作成した他のライセンス、例えばLGPLなどを適用したソフトウェアであっても!である。上記の条項があれば、ライセンス上は安全に他のGPL互換のライセンス(BSDライセンスなど)のソフトウェアとGPLライセンスのソフトウェアを組み合わせて別のソフトウェアを開発することが可能になる。
まったくもってややこしい話であるが、オープンソースソフトウェアに携わる人間としてライセンスの組み合わせは避けて通ることが出来ない問題であり、数あるオープンソースライセンスの中でも最もシェアが多いのはGPLなので、GPLの互換性に関する知識は身につけておく必要があるだろう。GPLが嫌いな人は「GPL汚染」などと揶揄してとかくGPLソフトウェアに対して脊髄反射的な嫌悪を示すことが多いのだが、それはきっと未知なるものに畏怖の念を抱くのは人間の性だからであり、しっかりライセンスを読んでよく理解すれば何も恐れる必要はないのである。
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