ところが、PC WatchにSIMロックフリーをキャリアに強制して意味があるのかという記事が掲載された。「おいおいメリットはあるに決まってるだろ・・・」と、タイトルを読んだだけなら脊髄反射してしまいそうになるが、SIMロックを解除してもまだ足りない点が指摘されており、非常に良い記事であるように思う。(ただし後半は賛成できない部分がある。)
誰が得をするのか
SIMロックの解除という点においては、ドコモはこれまで非常に誠実な対応をしてきたと思う。冒頭で紹介したニュースでも以下のように記されている。携帯各社は一部の機種を除き、特定のカードにしか反応しないように端末に機能制限をかけている。NTTドコモは米アップルのiPhone(アイフォーン)を除く機種で解除に応じているが、ソフトバンクは一部にとどまり、KDDI(au)は応じていない。
当然ながら、SIMロック解除は利用者にとってメリットがあることは疑いようがない。だが、別の視点で見ると、これまではドコモだけが誠実に対応をしてきたことで、既存のドコモユーザーがSIMロックを解除して他のキャリアへ移行することは容易であった。SIMロック解除した端末をそのまま流用できるからだ。だが、他のキャリアからドコモへ移行する場合、ソフトバンクでは一部の端末のみ、auでは不可能であったため、ユーザーは新たに端末を購入し直す必要があった。賦課方式で安く端末料金を済ませることができるとは言え、不公平感はどうしても否めない。しかも「正直者がバカを見る」状態である。SIMロック解除が義務化されれば、そのような不公平感は多少マシになるのではないだろうか。
IMEI規制
今回総務省が推進しているのはSIMロックの解除だが、SIMロックと並んでユーザーに不便を敷いているのがIMEI規制ではないかと思う。SIMロックは、携帯端末が特定のキャリアのがSIMでしか動作しないようにする仕組みだが、IMEI規制はキャリア側で端末の固有の製造番号(IMEI)を利用して、特定の端末しか通信させないようにする仕組みだ。SIMロックは端末側、IMEI規制はキャリア側の規制であると言える。建前上は、IMEI規制は不法に入手された端末の通信を拒否することができるという大義名分があるのだが、実際にはそれ以上の規制が行われている。SIMフリーでは誠実な対応をしてきたドコモも、IMEI規制ではまだまだ誠実さに欠けているのではないかと思う。例えば、iPhone用のSIMを、SIMフリーのAndroid端末に挿しても通信ができないという話もある。(参考:イーモバイル版Nexus5と、Google Play版の違い。ドコモIMEI制限について。 | KJ新谷の輸入ビジネス幼稚園)これではせっかくのSIMフリー端末も意味がなくなってしまう。
総務省はSIMはフリーの次はIMEI規制にも切り込んでもらいたいと思う。
真の勝者はMVNOか
ソフトバンクやauのユーザーが、SIMロック解除が可能になったことでドコモへ移行するか?と言うと、そこには若干の疑問符が残る。キャリアを選択する基準は色々あるが、ひとつは通信品質、もうひとつは料金だろう。現時点において、通信品質も料金も、三大キャリアにおいては拮抗しているように見える。なのでソフトバンクやauからドコモへ移行しようというモチベーションは低いのではないだろうか。ではどこへなら移行するモチベーションが沸くのか?というと、やはりMVNO業者ではないかと思う。何故なら料金が安いからだ。そういう予想をした人が多かったようで、日本通信がストップ高買いというニュースが流れている。SIMロックを解除してMVNOへ移行するというのは確かに理にかなっている。MVNO業者との競争が激化すれば、三大キャリアも価格競争に足を突っ込まざるを得なくなると考えられるので、いずれにしてもユーザーにとってはメリットが大きい話である。
なぜMVNOは採算がとれるのか
MVNOの価格設定はかなり安い。私の月々の携帯の利用料金は3,000円台だ。何故このように低価格でも商売が成り立つのだろうか。もちろん商売が成り立つからこのような低価格設定なのだろうが、それにしても三大キャリアとの価格差が大きすぎるように思えないだろうか。もし、MVNOの価格設定が十分に採算の取れるものであれば、MVNO業者はドコモへ通信インフラの費用を支払ってさらに利潤を得ていることになるし、ドコモも採算が取れる価格でインフラを提供していることになる。ということは、元々のキャリアの価格設定が高すぎるのではないか?という疑問が自然と生じることになる。
その最大の原因は、やはりキャリアが携帯端末代の割引きをしているからではないかと思う。今はどのキャリアでも、2年縛りを約束する代わりに、大幅な携帯端末代金の割引きが受けられる。代金は賦課方式で2年に渡り分割して支払われることになる。キャリアが販売している端末はとても高価なものが多く、今は6〜8万円ほどするものが主流であるように思う。
そのように高価な端末が、大幅な割引きの末、極端なケースでは割引きと端末の購入代金が相殺され実質タダで手に入ることすらある。
ユーザーが携帯を実質タダで手に入れたとしても、本当に携帯がタダになっているわけではない。裏ではちゃんとキャリアからメーカーへ端末代は支払われているだろう。それでもキャリアに損が出ないということは、元から端末購入代金分の割引きを適用しても採算がとれるような通信費の価格設定になっているということだ。
それにしてもそんなに割引きして大丈夫か?と疑問に感じるかも知れないが、キャリアは何もユーザーごとに採算を取る必要はない。個々のユーザーごとに採算が取れなくても、全体として帳尻が合えばそれで良いからだ。中にはそれほど頻繁に機種変更をしないユーザーも居るだろう。そのようなユーザーは割高な通信費を支払うことで、他のユーザーが購入した携帯端末代金を間接的に負担していることになる。これは携帯端末を頻繁に買い換えないユーザーにとっては、実に馬鹿らしい話だとは思わないだろうか。
それが嫌ならMVNOは安くてオススメである。ドコモのインフラを使ってるだけあって通信の品質も問題ない。
携帯端末が異常に高い日本
賦課方式でキャリアが携帯代金を割り引くことの弊害は他にもある。それは、どの端末を見ても高価なものしか無いというものだ。ドコモのオンラインショップを見ても、5万円以下で買える端末はほとんどない。特にスマホはそうだ。
「え?何?実質負担金はどれも5万円以下だろって?」
確かにそれはその通りだ。商品一覧に実質負担金しか載せていないのはちょっとズルい。個々の商品のページを開くと、本当の価格が表示されるようになっている。
例えばこの商品なんかは、なんと実質負担金が0円と表示されているのだが、本当の商品代金は79,488円(2014年7月現在)だ。
なるほど、実質0円でこのような高価な端末が買えるのなら、ユーザーは文句は言うまい。いや、だが待て。それはまやかしではないか。実質0円で手に入っているように見えて、その分の金額は元から通信費に含まれているのだから。
世の中、こんなハイスペックな携帯が欲しい人ばかりではないはずだ。写真が撮れてLINEやFacebookで送れればそれで良いというだけのユーザーだってたくさん居るだろう。だが、そのようなモデルは日本では珍しい。
一方、海外携帯を扱っているEXPANSYSでAndroid搭載モデルを見てみると、随分と事情が異なっていることに気がつく。下記はAndroid携帯を発売時期でソートしたものだが、なんと最新モデル(入荷待ち)が1万円台で買えてしまう。これは実質負担金ではなく端末そのものの価格だ!
もちろんスペックはそこまで高くはないし、LTEもついてないものの、CPUはAtomだしデュアルSIMだしRAMも2GB載ってるし、そんなに悪くないように見える。デュアルSIMなら格安のデータ通信用SIMを併用することで通信費を安く抑えたりすることも可能だ。ゲームをしないのであれば十分なスペックに見えるので、無駄に高いモデルを買わされるのではなく、こういうモデルで賢く安く携帯ライフを楽しむのもアリなのではないだろうかと思うのだが、残念ながら三大キャリアではそういうモデルは見かけない。実質負担金が1万円台というモデルならたくさんあるのだが・・・。
キャリアがSIMロックをかけて、販売するモデルをコントロールすることによる最大の弊害は、他のキャリアへ乗り換えるのが難しいことではなく、実は低価格なモデルが手に入らないことではないかと思う。
街の携帯ショップはどうなる?
最後に、もしSIMロックフリー化が進むと街の携帯ショップがどうなるか?ということについて考察したい。PC Watchの記事には、携帯ショップで手厚いサービスを受けている様子が描かれている。
でも実際には初期設定などで戸惑うユーザーは少なくないだろう。それに、もし、何か問題が起きた時に、端末のせいなのか、ネットワークのせいなのか、それは仕様の問題なのか、不具合なのかを切り分けるのは大変だ。
キャリアが端末とセットでサービスを売るという図式の中では、全てのトラブルはワンストップで解決できるので、こうした問題は起こらない。2時間近く使い方の相談に乗ってくれるキャリアショップの店員の存在など、ユーザーの多くはそれを当たり前のサービスだと思っている。
こういったサービスは、もちろんサービスを受ける人にとってはメリットがあるのだが、サービスマンの人件費は最終的に他のユーザーが支払う通信費などによって賄われることになるという点を忘れてはいけない。時間はタダではないのだ。ショップで受けられるこういう親切なサービスは、ユーザーが高い通信費を支払っているというバックボーンがあって初めて成り立つものだ。こういったサービスを必要としない人にとっては、なぜそのために高い金を払わなければならないのかという不満が募るだろう。
一方、このぐらいの切り分けであれば、2時間も相談に応じる必要は本来ないのではないかと思う。ユーザーが持ち込んだSIMを他の端末へ挿せば、端末の問題なのかSIMの問題なのかは直ぐに切り分けができるだろう。使い方や初期設定のサポートは有料で請け負えば、新たなビジネスが展開するのではないかと思う。パソコン教室でWindowsやExcelの使い方を教えているように、スマホ教室なんていうものももしかすると繁盛するかも知れない。
SIMロックフリーが当たり前になると、携帯ショップが独自に端末を販売し、MVNO回線の契約もセットで請け負うという業態も一般的になるかも知れない。既にヨドバシが自社ブランドのSIMを出しているが、そういうのがもっと進むのではないだろうか。
1 コメント:
3GS、4Sと2世代に渡って愛用しています。
5でも勿論、と思っていましたが、今回は意外と悪評も多かったのでやや見送っていました。
が、やはり他にこれ以上の価値を見出せるケースが見当たらず、結局購入。
まだ使用して2日ですが、今のところ満足しています。
まず、今更語るまでもない成型精度ですが、これは間違いなく群を抜いています。
薄さやフィット感に関して、エアージャケット以上のクオリティのものは見た事がありません。
そして評価が分かれているボタン類の押しにくさ。
ここに関して、個人的にはまったく気になりませんでした。
もちろん、裸のときよりは押しにくくなりますが、使いにくいと感じる程の押しづらさではありません。
ただ、これには個人差があるようで、友人に試してみてもらったところ「押しにくい」とのことでした。
なので、可能であれば実物でチェックされる事をお勧めします。
http://www.brandiphonecover.com/
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