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2014-05-28

一般の職務で残業代を0にしてはいけない理由。あるいは0にするための要件。

「ヒラ社員も残業代ゼロ」構想の全内幕という記事が注目を集めている。そこでは、経産省の役人と経団連の間で、残業代ゼロ政策についてどのような駆け引きがあったかということが赤裸々に語られており、中でも竹中平蔵氏の「アーティストは残業代ゼロなんですよ。」という発言が特に目を引く。アーティストと一般の雇われ労働者を同一視するというのは愚の骨頂としか言いようがない。

朝日新聞の記事によると、方向性は大幅に修正され、幹部候補だけが対象となったようだ。だが油断はならない。経団連は労働者から搾取しようと手ぐすねを引いて待ち構えているからだ。今日は残業代ゼロの何が問題なのかについて語りたいと思う。

成果?それとも時間?

残業代ゼロの何が問題なのかについて、まず結論から言おう。一般的な雇われ労働者は、時間的に拘束されることがその職務の一部になっているからだ。

アーティストは確かに残業代は出ないかも知れない。しかしいくら働こうが、あるいは働かなかろうが、つまりいくら時間を費やしたかは彼らの報酬には影響しない。報酬はCDや音楽配信の売れ行きや、コンサートの集客数等によって決まる。完全に成功報酬型であると言える。(JASRACによる配分が公正かどうかという問題はあるが、ここでは目をつむろう。)アーティストにとっては成果だけが問題なのである。費やした時間がどれだけかは報酬あるいは評価には一切関係ない。そういった職種は確かに存在する。

だが一方で、費やした時間が業務にとって重要な意味を持つ職種は数多く存在するし、一般的に雇われている労働者はこちらに該当する場合が多い。とりわけシフトを組まなければならないような職種は、一定時間その職務に拘束されることが仕事の要件となっている。例えば工場のライン工、コンビニエンスストアや牛丼チェーンの店員、医者、看護師、警備員、カスタマーサポートなどである。シフトが必要なわかりやすい例として、24時間営業のコンビニエンスストアや牛丼チェーンを挙げたが、実際にはあらゆる店員は時間的に拘束されることになるだろう。人月で売り買いされる派遣従業員も同様だ。人月、すなわち時間が彼らの価値なのであって、その間にどれだけ良い働きをしたかは報酬には関係しない。

もし、残業代をゼロにするなら、その評価や職責が、費やした時間によらない職種であるべきだ。会社が従業員を時間的に拘束することで利益をあげるようなケースでは、例えいくら幹部候補と言った地位が約束されていたり、報酬が高くとも、残業代は正当な報酬として従業員へ支払われるべきである。残業代をゼロにして良いケースというのは、そうではない場合に限るべきだ。つまり、残業代ゼロにできるケースとは、従業員の得る報酬や評価は成果によってのみ決定され、どれだけ長く働いたかによって判断されない場合のみだと言える。従って、残業代をゼロにした場合、会社が従業員の時間を拘束するよう要求することを禁止すべきだ。コアタイムなし、いつ出勤退勤してもOK、出社義務も無し。その上で成果だけで評価されるようにすべきである。

実際にもし上記のような成果型の職種で残業代ゼロというものを運用するならば、成果が何であるかということ、そして具体的な数値目標について労使双方で合意し、それを記録として残すことを義務化すべきである。もちろん、そういった記録は要請があればその記録を労基や裁判所等に提出しなければならない。そういった取り決めがなければ、使う側は無茶な目標設定を従業員へ課し、いくらでも評価を切り下げることができてしまうからだ。

そのためには、成果が何であるかということが、ハッキリと明確に分かるようでなければならない。それができないというのであれば、その職種では結局のところ、働いた時間が意味を持つということだ。残業代の支払いを逃れるべきではない。もし残業代ゼロという仕組みを導入するのであれば、職責によって従来通り残業を支払うか、それとも成果だけで報酬や評価が決まるかという選択肢が必要だろう。

ビジネスモデルが明確になっていない

「成果を明確にするべきだ」などと書くと、「そんなこと簡単にできるわけがない」という反論が上がるかも知れない。だが、それはおかしな話である。従業員の成果を明確に表現できないのは、そもそも会社のビジネスモデルが明確になっていないからだ。何のためにその人を雇っているのかを会社側が明確に認識していない、つまりその会社のビジネスは何によって利益を得て、そのためにどういったプロセスや人員が必要なのかということが分かっていないから、個々の従業員の成果が何であるかを明確に定義できないのである。

何となく従業員が集まって、何となく企画が出て、何となく仕事になるというような経営スタイルの存在を否定しない。そういった経営でうまく回る場合もあるだろう。特に日本にはそういう企業が多いように思う。だが、そういったケースでは個々の従業員が集まって勤務している状態に意味があるので、やはりその職責は勤務時間とは切り離すことができず、従業員を時間的に拘束したらその分残業代を支払うべきである。(こういう場合は年俸制などと呼ぶことが多いように思う。聞こえは良いが成果に対する数値目標は明確になっていない。)

従業員を使い捨てにしても良いのか

残業代ゼロというのは、従業員をコストとしか見ていないから出てくる発想だと思う。そこには有用な従業員を重用し、より大きな利益を得るための原動力にしようというような考えは毛頭ないように見える。

企業あるいは経営者が従業員をコストとしか見做さない原因はいくつかあると思うが、中でも最も大きいのは終身雇用ではないかと思う。全員が同じように出世するため、従業員側にも良好なパフォーマンスを出すモチベーションが沸かない。従業員がどれほどのパフォーマンスを出そうが、年々支払わないといけない給与は増える。どの従業員も同じようなパフォーマンスで、年々支払いも増えるなら、コストとしか見做さなくなるのは自然なことのように思える。

大企業の経営者がどう考えようが、人材は成長のための原動力であることに変わりはない。しかし、現実的には非正規が増え、残業が増え、労働者は疲弊するばかりだ。このままでは日本はどんどん衰退するばかりである。もしその上残業代ゼロが法制化されてしまえば、日本は確実にトドメを刺されることになるだろう。

女性を活用する?

冒頭の記事の5ページ目に女性の活用という言葉が出てくるが、「女性を残業代ゼロでこき使う」の間違いだろう。今の企業、とりわけ大企業は人員をコストとしか見ていない。性別関係なく、安くこき使える奴隷が欲しいのである。女性活用などという甘い響きに決して騙されてはいけない。

しかし、もし本当に成果によってのみ評価されるような仕事であれば、有能な人が柔軟な働きかたをするのに便利だと思う。子育てや介護に追われ、泣く泣く仕事を離れてしまうようなケースを軽減できるかも知れない。しかしそういった人たちは、既にフリーランスになって、拘束時間とは無関係に報酬を得ているような気がしなくもない。

まとめ

既に冒頭で結論を述べたが、残業代ゼロを導入するには、成果が何であるかをハッキリと定義でき、しかも勤務時間が成果に直結しない職種に限るべきである。その場合、企業が従業員を時間で拘束するのを明確に禁止すべきである。また、個々の従業員の成果が何であるかを明確にできないのは、経営者にその責任がある。明確にできないのなら残業代を支払うべきである。

そういった条文がなければ、国民は政府がこのような制度を法制化するのを絶対に許してはならない。もし許してしまえば名ばかり幹部候補として、多くの人が企業に残業代も無しにこき使われることになるだろう。

3 コメント:

次元大輔 さんのコメント...

これは私も大いに賛成です!
安倍のおぼっちゃんは労働者階級創の現実が全く見えていない。
労働者をなめているとしか思えない考えですね。

こういった人物が居る自民党に投票する国民に責任が無いとは言えない。
けれど、現実、お金持ちしか政治家になれないシステムを変えていかなければならないと思うのです。

選挙に行く時、私は大抵日本共産党に投票するのですが、
「共産党は危険」とか、そういった偏見を持たれている人間が多いから票が伸びないのでは、
確かに共産党は第一党にどうせなれないのだから、
「消費税反対」とか「憲法第9条を守ろう」とか言っていられる側面もあると思います。
この点に付いての私の見解は消費税は必要だろうけど、生活必需品には消費税はかけるべきでは
ないと思うのです。例えば、居 食 住に関しては消費税は廃止すべきだと思うし。
日本国憲法はそもそもGHQが敗戦国日本にもう二度とアメリカに歯向かわないように作られた
憲法であると解釈しています。
 そもそも自衛隊って実質軍隊ですよ。それを憲法解釈で誤魔化そうとしている自民党も姑息だけど、
いっそのこと、9条は変えるべきだと、私は思います。
 日本が中国や北朝鮮に攻められた時、アメリカまかせにしといて良いのか?
 やはり自分の国は自分で守らなければならないと思います。
 本当に北朝鮮が攻めてきた時、アメリカが日本を守ってくれる保証なんてどこにも無いわけで。

こういった事実を日本共産党が第一党になったら「憲法9条は守ろう」とか「消費税反対」とか
果たして本当に成し遂げようとしているのか、第一党になれないから言えてるのかなぁ、とか
釈然としない点はありますが、
 それでも、日本共産党は、労働者や弱いものを守る、という精神がある、と思って条件付きで
支持しているんですけどね。

 でも、やはり自民党はお金持ちの味方、というのは否定できないと思います。

 という訳で、安倍政権は実に危険な存在、と、私は思うので。皆さん、日本共産党に投票しましょう。

ついでに言えば公明党=創価学会なので、政治的な主義、主張などポリシーの全くない党だと思います。

 その時の一番勢力を持った党に行くだけの政党、そんな印象です。

思い立った事をだらだらと書いてしまいました…

次元大輔 さんのコメント...

これは私も大いに賛成です!
安倍のおぼっちゃんは労働者階級創の現実が全く見えていない。
労働者をなめているとしか思えない考えですね。

こういった人物が居る自民党に投票する国民に責任が無いとは言えない。
けれど、現実、お金持ちしか政治家になれないシステムを変えていかなければならないと思うのです。

選挙に行く時、私は大抵日本共産党に投票するのですが、
「共産党は危険」とか、そういった偏見を持たれている人間が多いから票が伸びないのでは、
確かに共産党は第一党にどうせなれないのだから、
「消費税反対」とか「憲法第9条を守ろう」とか言っていられる側面もあると思います。
この点に付いての私の見解は消費税は必要だろうけど、生活必需品には消費税はかけるべきでは
ないと思うのです。例えば、居 食 住に関しては消費税は廃止すべきだと思うし。
日本国憲法はそもそもGHQが敗戦国日本にもう二度とアメリカに歯向かわないように作られた
憲法であると解釈しています。
 そもそも自衛隊って実質軍隊ですよ。それを憲法解釈で誤魔化そうとしている自民党も姑息だけど、
いっそのこと、9条は変えるべきだと、私は思います。
 日本が中国や北朝鮮に攻められた時、アメリカまかせにしといて良いのか?
 やはり自分の国は自分で守らなければならないと思います。
 本当に北朝鮮が攻めてきた時、アメリカが日本を守ってくれる保証なんてどこにも無いわけで。

こういった事実を日本共産党が第一党になったら「憲法9条は守ろう」とか「消費税反対」とか
果たして本当に成し遂げようとしているのか、第一党になれないから言えてるのかなぁ、とか
釈然としない点はありますが、
 それでも、日本共産党は、労働者や弱いものを守る、という精神がある、と思って条件付きで
支持しているんですけどね。

 でも、やはり自民党はお金持ちの味方、というのは否定できないと思います。

 という訳で、安倍政権は実に危険な存在、と、私は思うので。皆さん、日本共産党に投票しましょう。

ついでに言えば公明党=創価学会なので、政治的な主義、主張などポリシーの全くない党だと思います。

 その時の一番勢力を持った党に行くだけの政党、そんな印象です。

思い立った事をだらだらと書いてしまいました…

Mikiya Okuno さんのコメント...

次元大輔 さん、コメントありがとうございます。

> お金持ちしか政治家になれないシステムを変えていかなければならないと思うのです。

この点については、2つ意見があります。

ひとつは、まずは何よりも供託金制度を無くすべきだということです。これが資金がなければ選挙ができない第一の理由になっていると思うからです。

もうひとつは、政治献金制度を無くすべきです。個人的には形を変えただけで、賄賂と本質的に違いがないと思いますし、献金を受け取るというインセンティブがあるために、政治家は金持ちを優遇する政策しか取らないからです。

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