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2009-06-03

そもそも日本のIT業界が残念だ。

梅田望夫氏のインタビューに対して様々な反応が上がっている。
俺に言わせてみれば、Webだけでなく日本のIT業界そのものが残念だ。

俺は、2000年に大学院を卒業してからSun Microsystemsの門を叩いた。なぜSun?という疑問は色々とあるだろうが、いずれにしても外資系が良かった。日本企業に勤める気にはならなかった。なぜか?

日本のIT業界が残念なことになっていたからだ。

周りを見渡してみよう。一体どれだけの(人気のある)コンピュータ製品が日本製だろうか。俺は今、MacBookでこのブログを書いている。組み立てはどこの国で行われたかは知らないが(たぶん台湾あたりか?)設計したのはアメリカの企業であるAppleだ。

サブマシンで使ってるLinuxは北欧の人が設計した。

最もシェアの高いOSはWindowsであり、これまたアメリカ製である。

スマートフォンのOSは、Android、iPhone OS、WM、Symbian OS、WebOSなど様々だが、いずれも海外のものだ。

今俺の本職であるデータベースだって、オープン系システムで利用されるものはほとんどが海外製のものばかりである。MySQLはスウェーデン生まれだ。

ハードウェアはどうだろう?メモリやHDDは日本製のものもあるが、花形であるCPUはIntel/AMD/VIAなど海外勢ばかりであり、GPUもnVidia/AMDとこれまた海外である。おっと・・・最近富士通が世界最速のCPUを発表したところだった。10年ぶりに。

そんなわけで、日本のIT製品・・・特に基盤となるソフトウェアは、海外発のものを輸入して利用しているのがほとんどである。俺はそれが残念でならない。

だから外資系企業に入って、日本ではなく海外の技術を学ぼうと考えたわけだ。ただし配属された部署の関係で、あまり希望するような仕事は出来ず、お世話になったSunを去ってMySQLへ転職したわけだが、どういう因果なのかまたもやSunに買い戻されてしまい、今度はそのSunが買われることになってしまった。これまた残念なストーリーである。

Webが残念なことになっているというのは、IT業界そのものの体質だと思えばそれほど不思議ではない。元々日本のIT業界は世界をリードする立場に無かったのだから、それがWebで立場が変わる方が不思議なのである。

なぜ日本のIT業界は残念なことになっているのか?社会に出て、俺なりに経験を積んできた中で思うことには、例えば次のようなことが挙げられる。
  1. 技術者の待遇がよくない。出世するには管理職にならなければならない。技術を学んでも待遇がよくならないので、技術を学ぶことに対するインセンティブが業界全体で低い。
  2. ソフトウェアのライセンスはプロプラエタリなものばかりで、開発者がその方が良いと信じている傾向がある。実質的には経営者や営業職など、開発職以外の人達だけが得をしている。
  3. 国内市場向けの商品が大半である。特にソフトウェアでは顕著であり、日本から海外へ販売している例は少ない。Web系のサービスではもっと顕著で、殆どが国内消費向けである。
  4. 言語の壁が高い。
このように分析してみると、日本で開発されたものが世界標準になる可能性は極めて低いと考えざるを得ない。とても残念なことである。

じゃあどうすればいいか?結論だけ書くと、
というわけだ。こんな風に考えているので、俺は今のところ身を置いているわけである。今が残念ならば、少しでも良い方向へ進むよう努力すべきなのである。

日本発のもので勢いがあるものもある。例えばRubyだ。俺はRubyを猛烈に応援・支持している。松本さん、頑張ってください :)

正直言って、Webには国境はないのに、日本むけのサービスばかり展開していては勿体ないという気持ちもある。海外でもサービスを展開できればビジネスの規模も大きくなるし、Web系の企業は是非とも日本市場だけにとらわれない経営をして頂きたいものだ。

5 コメント:

Koichi Hirano さんのコメント...

+1 最近のクラウドなんちゃらブームでも、何社かがクラウド関連のサービスを発表しましたが、知る限り全部日本国内向け。すごーく、がっかりしてます。

Mikiya Okuno さんのコメント...

> Internalist さん
国内向けのサービスだと、パイがどんどん小さくなっていきますからね。少子化で。日本のIT企業は海外に製品を売らないとヤバイですよ。

Mikiya Okuno さんのコメント...

追記:組み込みに関して。

日本の組み込み環境といえばTRONだけど、TRONは日本での利用実績・シェア・開発者数はかなりのものがある。けど、海外での利用実績はまだまだだし、チップの性能が上がってきた昨今は組み込みにおけるLinuxの利用ケースが増えてきているので、楽観視は出来ないと思う。(むしろWorld Wideでの利用実績という観点では、多少残念な気がする。)

TRONは優れたOS仕様だと思う。特に非常に小型の機器で、LinuxやNetBSDなどUNIX系のOSを組み込むことが出来ないところでは活躍できると思う。

しかし惜しむらくは海外での利用実績が少ないく、認知度も低いこと。日本の人口は少子化によってどんどん減少していくだけなので、このままではTRONは日本に埋もれてしまうことになるだろう。坂村健教授の一ファンとして、TRONにはもっと海外での認知度や存在感を増して欲しい。そのためには、もっと英語によるマニュアルやドキュメント類の拡充が課題になると思う。

kimimasa さんのコメント...

本当は、「日本」「海外」と区別している時点で、ダメなんでしょうねー。
海外のエンジニアから、「スウェーデンでは。。」とか「イギリスでは。。」とかいう話はあまり聞きません。
彼らにとっては、国の違いは我々にとってもの「東京」「大阪」の違いくらいでしかないのかもしれませんね。。

ただ、日本のご飯(めし)は世界一おいしいので日本を拠点にグローバルな仕事がしたいものです。

da さんのコメント...

kimimasaさんに同意です。
私も言葉や文化は違えど世界は既に一つなんだと感じています。

でもやっぱ日本が最高ですね。ここくらいうまい飯が食える場所は世界中探してもなかなかないですよ。きっと。毎日感謝です。

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