GPLソフトウェアに対する批判的な意見の中に「せっかく自分が開発したものを他の人に開放してしまったら利益が損なわれるのではないか?」とか「自分たちが投資して開発したのだからその成果を手放すことは企業利益に反する」ということを耳にすることがある。これらの意見は短期的に見れば正しいかも知れないが、長期的に見れば社会全体の利益を損なうだけでなく、自らの利益も損なってしまうだろう。
もし、誰かが素晴らしいアイデアを思いついて、そのアイデアをソフトウェアとして実装したならば、そのソフトウェアは迷わずGPLでリリースするべきである。GPLでリリースすることの利点は多々あるので挙げてみると・・・
- ソフトウェアをより多くのユーザに使ってもらうことが出来る。
- ユーザーからフィードバックを受けることにより、ソフトウェアの品質を高めることができる。
- 他の様々なGPLソフトウェアと組み合わせることができる。
- 他の様々なGPLソフトウェアからソースコードをコピーすることができる。
- アイデアまたはソフトウェアが素晴らしいものであればコミュニティを形成することができる。
- コミュニティに他の企業が参入することにより市場を拡大することができる。
GPLソフトウェアをリリースしたら、他の如何なる企業に対しても、そのソフトウェアを用いてビジネスを展開することに対して、妨害したり非難してはならない。例えそれが同じビジネス形態(例えばアフターケアやプロフェッショナルサービスを行う企業)であってもである。なぜならば、同じソフトウェアを用いてビジネスを行う企業は、共に市場を成長させる仲間なのだから。お互いを尊重しあった結果、最初に思いついた素晴らしいアイデアが社会に広く浸透し、その分社会に対して多大な貢献が出来るのである。小さなソフトウェア開発企業だけがそのソースコードにアクセスすることができ、なおかつ単独でビジネスを展開する・・・という形態では決して達成することが出来ないビジネスである。もし、そのアイデアまたはソフトウェアが社会にとって有益なものであれば、出来るだけ広く普及したほうが社会のためなのである。
ひとたび市場が成長すれば、それはソフトウェア開発企業にとって非常にメリットがある。ソフトウェアには互換性の問題があるので、大きく成長した市場が衰退するには時間がかかる。また、市場規模が大きくなればその分仕事も増えるのでより大きな売り上げに繋がるだろう。つまり、長期に渡って大きな売り上げを継続することが可能なのだ。短期的に見ればソフトウェアライセンスなどによる収入の機会を失する可能性があるが、長期的に見ればライセンスをGPLにすることのメリットは計り知れない。
つまり、ソフトウェアをGPLでリリースすることは非常に優れた投資なのである。
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