More info...

2010-04-01

日本企業に提唱したい著作権ビジネス

まず最初に断っておくが、俺は日本における著作権の在り方は間違っていると思っている。多くの企業(音楽業界、出版業界、映画業界など)がやっていることは、これまでのビジネスモデルにしがみついて利益を守ることだけであり、強すぎる著作権の効力によってユーザーに不便を強いていると思うし、新たなビジネスの開拓にも積極的ではないためジリ貧になるだけだと思うからである。正直なところ、JASRACがオリジナル曲の演奏ですら金を徴収した例などは、ただただ閉口するばかりだ。まるでJASRACが全ての著作権を代表しているかのような行いであるが、他にも著作権管理団体は存在するし、オリジナル曲に対してJASRACが支払いを強要するのはおかしな話なのである。

とはいえ、現状を嘆いていてばかりでは何も良くならない。今日は日本でこれから儲かる(かも知れないと俺が考える)著作権ビジネスを3つ挙げて見よう。

1. 著作権管理団体ビジネス

先日、USTREAM上でJRC管理の楽曲をユーザーが利用出来るようになったというニュースが流れた。(CDなどの音源を利用可能なものと、演奏が可能なものがある。ホワイトリストで識別可能。)JRCはJASRACの同業者で、いわゆる著作権管理団体だ。

今回のJRCによるUSTREAMとの提携は凄い。まさに革命的だ!!

JRCは恐らくインターネット上で著作物がどうあるべきか、どうすればメディアが広く普及するか、そしてビジネスに繋がるかということを理解しているのだろう。インターネットとAll rights reserved(全ての権利を著作者が有するタイプ)な著作物は相性が悪い。ユーザーがある程度自由にコピーしたり、口コミで広げたり、アレンジしたり出来るメディアが必要だ。その方がメディアがより多くのユーザーの元に広まるからだ。そうやって裾野を広げる術がないメディアは、インターネット上では生き残れない。インターネット上で生き残れないメディアはリアルでも生き残れない時代だから、ネット上での普及はミュージシャンにとってまさに死活問題だ。JRCによる今回の措置は、そのような時代背景を配慮したものであると考えられる。

また、ミュージシャンの中には著作権料の徴収よりも、自身の楽曲をより多くの人に聴いて貰いたいと考えている人も居るだろう。そういった人達は、一般人によるインターネット上での利用を禁止するよりも、より積極的に利用して貰いたいに違いない。(そして、それが彼らにとって次のビジネスに繋がるのだから。)

インターネット上で様々なサービスが出現するにつれ、そのサービス上で利用可能なメディアの在り方が問われる時代が到来した。JRCの今回の措置は素晴らしいが、USTREAM以外での利用を考えるとまだまだ足りない。もはやAll rights reservedなメディアなどというものは受け入れがたいのである。可能な限りユーザーが自由に利用出来るメディアが望まれる。その方が広く楽曲が広まるから、ミュージシャンにとってのメリットも大きい。今回のJRCの措置により、JASRACからJRCへ楽曲の管理を移したミュージシャンも居るし、彼らもインターネット上で広く利用されることのアドバンテージに気付き始めているのではないだろうか。

そこで、新たに著作権管理団体を設立してはどうだろうか。可能ならばクリエイティブコモンズライセンス(CC-BY-NCなど)で、インターネット上での自由な利用を認めてしまうのだ。その上で、CMなどで商用利用したい企業から料金を徴収したり、投げ銭のプラットフォームを提供したりする。All right reservedな楽曲と比べ、CC-BY-NCなSome rights reservedな楽曲は、インターネットと親和性が高いため、ミュージシャンの活動にとって有利なのは疑いの余地がない。

これまではその手のビジネスはことごとく失敗してきたが、それは時代がまだそういったビジネスのための受け皿を準備していなかったからだ。インターネットはWeb 2.0と呼ばれる時代を経て、今の話題の中心はソーシャルメディアに移っている。時代はソーシャルな著作権、ソーシャルなミュージシャンを要求している!!

今こそ、クリエイティブコモンズライセンスを使った音楽配信ビジネスを立ち上げるのに最適なのだ!!

2. マンガの電子出版

もうすぐiPadが発売されることで、にわかに電子出版が盛り上がりを見せている。Amazon Kindleのような古参の電子ブックリーダーもあるが、これからはさらに他のガジェットも登場することだろう。紙の出版物はシェアを食われてしまうだろうが、コンテンツ提供側にとってこれはビジネスを広げる大きなチャンスだ!

かといって、単に「週刊ジャンプを電子書籍化しま〜す」と言ったって、あまりうま味はない。印刷代は浮くかも知れないが、必ずしも売上げに繋がったりはしないだろう。そもそもであるが、マンガが「週刊」で提供されることにそれほど大きな意味はないと言って良い。むしろ次のようなデメリットがあるので週刊誌という形態はとっとと辞めるべきだと思う。
  1. 週刊だと発売の曜日が過ぎるすぐに店頭からなくなってしまう。
  2. 漫画家への負担が大きい。
  3. 読みたくないマンガも一緒に買わされる。

もちろん週刊誌にはメリットもある。「○曜日にコンビニへ行けば売ってるぞ」ということが明確に分かるし、週刊誌の枠の中で新連載を紹介すれば新しいファンを獲得するのも比較的容易だからだ。

しかし現代人は忙しい。電子書籍では週刊誌などというスタイルに固執せず、マンガはバラ売りするべきだと思う。一話につき50円とか。その方が一話ごとの価格も抑えられるし、漫画家のペースでストーリーを描くことが出来る。(誌面だとページ数に制限があるが、ダウンロード販売ならそれほどサイズを気にしなくてもいい。ブロードバンド万歳である。)読みたくない作品には無駄金を払わなくて済む。

上で挙げた問題点のうち、3つめのものは俺のように読みたいマンガが1つの雑誌につき1種類しかないようなタイプの人間には特に重大な問題である。俺の読みたいマンガは例えば、
  • はじめの一歩 / 週刊少年マガジン
  • MAJOR / 週刊少年サンデー
  • 範馬刃牙 / 週刊少年チャンピオン
  • タフ / 週刊ヤングジャンプ
  • 傷だらけの仁清 / ビジネスジャンプ
  • 餓狼伝 / イブニング
  • バガボンド / モーニング
  • 西遊妖猿伝 / モーニング
  • 多重人格探偵サイコ / ヤングエース

と見事に各雑誌に散らばっている。全ての雑誌を購入するのは非常に無駄(金銭的にも資源的にも)だから購入はしていない。だが、もしこれらのコンテンツだけをダウンロード販売してくれれば、確実に金を払うことになるだろう。

3. ジブリランド構想

また馬鹿げたことを言い出したな!と思ったそこの君!!ちょっとこっちに来てヒゲのおじさん=俺とゆっくりお茶でもしようではないか。 コンテンツ産業で最も儲けている企業のひとつとして、ディズニーを挙げない人は居ないだろう。著作権を70年まで延長するほどディズニーの影響力は絶大である。ディズニーは映画配信ビジネスはもちろんだが、レジャー施設の存在がとても好循環を生み出しているように思う。つまり、

映画を見た人がキャラクターを目当てにディズニーランドへ行く。

↑        ↓

ディズニーランドのファンになった人がディズニーの映画を見る。

という循環である。そしてディズニーはどんどんと雪だるま式にファンを増やして収益をあげているのである。正直言って自分はまったくディズニーには興味がない(むしろ著作権を延長した悪の親玉であるとすら思っている)のだが、周囲には(子供もいい歳こいた大人も)ディズニーのファンが多い。

なぜ、日本の企業はそのようなビジネスを展開しないのか?!

日本のマンガやアニメはいまのところ世界中で大人気である。ディズニーの成功例を見ていると、せっかくのコンテンツ資産を利用しないのは勿体ない極みである。日本が誇るアニメといってもいろいろあるが、レジャー施設が作れるほどの優秀なキャラクターを産み出したスタジオと言えば、ジブリを置いて他にないだろう。(次点はバンダイあたりか。) 例えば「ナウシカ」が乗っている「メーヴェ」を模したジェットコースターが「腐海」のようなトンネルを突っ切って、最後には「金色の野」に降り立つ・・・みたいな演出があれば、大人にも子供にもウケるのではないか?!他にもアトラクションの題材には事欠かないだろう。 ただし、問題は資金である。スタジオジブリが大規模なレジャー施設を作って運営するだけの資金を持っているとは考えにくい。従って、スポンサーもしくは計画を代わりに実行に移してくれる巨大資本が必要になる。例えば、PS3がうまく行かずにあえいでいるソニーなどはどうだろうか。元々PS3を手がけてコンテンツビジネスを展開する術は十二分に持ち合わせているし、アトラクションで利用する様々なロボットを作るだけの技術もある。(それはAIBOやQRIOで実証済みだ。)ソニーがジブリのキャラクタを使って演出をするレジャー施設なんて、考えただけでもワクワクするじゃないか。 ソニーが仕切るのであれば、逆にジブリだけにこだわる必要はなくなるかも知れない。例えばバンダイと提携すれば、(大きな)男の子が大好きなガンダムや仮面ライダー、ウルトラマンといったキャラクターを利用することも可能だろう。そうすると、潜在的な顧客の裾野は一気に広がる。これならディズニーにも対抗できる! 家族で楽しめるキャラクターを活かしたレジャー施設は現在ディズニーの独占状態であるが、日本のコンテンツと技術力をもってすれば太刀打ち出来ないはずはないのである!!

まとめ的なもの

以上、日本企業に提唱したい著作権ビジネスについて好き勝手書いてみた。だが、日本のコンテンツ産業は(俺の目からは)とても保守的に見えるのだが、守りに入ってばかりでは未来はない。ここで挙げた例は単なる構想なので馬鹿げているものもあるが、ぜひとも攻めの姿勢で新しい分野を開拓して頂きたいと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿