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2008-03-26

揺れるSaaSの雄

Silicon Valley Watcherの記事によると、SalesforceがCiscoに身売りを持ちかけたらしい。
http://www.siliconvalleywatcher.com/mt/archives/2008/03/is_salesforce_i.php

Salesforce.comというと、まさにSaaSのトッププレイヤーであり、SaaSはIT業界で最も注目されている分野の一つである。ビジネスが堅調に成長してきたこのタイミングで(一番オイシイ時に)どこか高く買ってくれる会社に売却するのは経営者的には正しい。なぜならば、株の売却により多額の収入を得るからだ。ほぼ全てのITベンチャー系企業の連中は、そのような夢、つまり「成功していっちょ金持ちになってやろう」ということを夢見て起業するわけなので、金持ちになることは別に悪いことではない。

しかしつまらない。

同じIT業界で働く者として、躍進中の企業が今後どのような活躍をしてくれるのか、業界に新たな旋風を巻き起こすのではないかというような期待感を持って日々ニュースを見ているわけなので、身売りをすることで躍進が少なからず停滞するであろうことはとても悲しい。そして、Salesforceで働く末端の人たちにとっても、大企業の一部になることは歓迎すべきことではないはずで、身売り後には大量に退職者が出ることが予想される。そうなるとサービスの質も低下することになり、SaaSの採用を検討していた企業が二の足を踏むことになるだろう。SaaSによってIT業界の勢力図が変わることを期待している自分にとっては、非常にガッカリするニュースである。

ところで、記事にもあるがGoogleはSalesforceが身売りするには非常に魅力的な企業だろう。高く買ってくれるかどうかという点を抜きにして。Salesforceが提供するサービスは、GoogleがMicrosoftと戦うために非常に有利なものであるし、Googleが持っているサーバー&ネットワークインフラや、検索エンジンをはじめとするWebアプリ資産を活用できるであろうことが予想される。一コンピュータオタクとして、Googleが多少高くついてもSalesforceを買ってくれることを願う。

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